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第十話 悪魔のプロポーズ

Author: 白蛇
last update publish date: 2026-07-12 17:02:17

「――俺と結婚しろ」

 理玖りくの言葉が、逃げ場のない空間へ鋭い楔くさびのように打ち込まれた。

「……は?」

 思わず、凜りんの唇から乾いた声が漏れた。

 室内に漂う静寂が、耳鳴りを伴って頭の奥で膨らんでいく。

 何を言われたのか、理解できない。いや、したくないだけかもしれない。

 視界の端で、背後の玄関へ続くドアを塞ぐように、理玖の長い影が立ちはだかった。

「なにを……言ってるんですか」

「何度も言わせるな。俺と結婚しろと言ってるんだ」

 理玖の足が短く、苛立つように床を打つ。

「……無理、です」

 ようやく押し出した声は、自分でも驚おどろくほど細かった。言い切ったはずなのに、足元が揺らぐ。

 理玖は一瞬、何も言わずに目頭を右手で押さえる。

 その仕草と沈黙が、逆に凜へ重くのしかかった。

「…&h

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